銅の襖引手2

2012年2月25日

銅の襖引手
銅の襖引手の制作行程、前回からの続きです。

縁の部分に必要な厚板をロウ付けしたものを、糸鋸を使い、手で抜いていきます。

銅の襖引手制作行程5

手前が引手の内側を抜いたもの、
奥が内側と外側を抜いて、内側に綺麗にヤスリをかけたところです。
さらに縁を欲しい幅とカーブになるように、ヤスリで整形していきます。

銅の襖引手制作行程6

真ん中がヤスリで整形をする前の状態です。

かなり引手らしいかたちになってきました。
しかし、この写真の段階までにはヤスリ掛けの工程があります。

ヤスリは荒目→中目→細目→油目の4段階で仕上げます。順にヤスリ目を細かくして傷を消していくのです。
上の写真の両端の2つは油目まで掛けた段階です。

油目のあとは砥石で研ぐのですが、この辺りで底板を作っておきます。

銅の襖引手制作行程7

もうどこから見ても引手です。縁のカーブは細身ですっきりした印象に仕上げています。
でも、まだ完成ではありません。

銅の襖引手制作行程8

砥石を掛けてヤスリ目や傷を消していきます。

砥石のあとは、炭研ぎをし、さらに炭より細かいクリスタル砥石で仕上げて行きます。

この段階でヤスリ目が残っているのが見つかるとやり直しです。
(ひたすら地道な作業です)

とにかく綺麗に傷がなくなるまで研ぎ上げたら・・・

 

最後は胴擦りです。

朴炭の粉をコシのある馬毛の刷毛に付けてブラッシングします。
最近は炭粉をつくる手間や炭の入手などを考慮して、炭粉の代わりに炭化ケイ素(カーボランダム)を使う事もあるようです。(試してみたいです)

研ぎ跡の曇りを取ってピカピカに仕上げます。

胴擦りには、脱脂の意味もあります。
これをしっかりしないと、色上げの際にそのまま出てしまうので要注意です。

さらに重曹で脱脂し、表面を綺麗にしたのち、

 

いよいよ着色です。

今回は伝統的な金属の着色技法である煮込み着色にしました。

煮込み着色は、煮色、煮上げ、色上げとも呼ばれ、赤銅や四分一、黒味銅、真鍮、さらには砂張といった銅合金に使われる一般的な着色方法です。
緑青と硫酸銅を溶かした液の中でグツグツ煮ていきます。

銅の襖引手制作行程9

ムラなく綺麗に着色できました^^ これ、ムラなく綺麗に仕上げるのは結構大変です。(実は胴擦りと着色だけで丸一日かかりました・・・)

しっかり研いだので、着色しただけで艶があります。

最後にイボタ蝋(蜜蝋もOK)を塗って完成です。

完成写真は記事のTOPの写真をご覧下さい。
その後、襖に取り付ける際の銅釘もしっかり着色しましたよ◎

この月の引手は、唐長さんの遠波の柄の浅葱色っぽい唐紙に着く予定です。
水面に浮かぶ月のようになるのではないかと楽しみなのです。

なんだか長文になってしまいました。

 

カテゴリー:制作日誌 | コメント[4]

銅の襖引手1

2012年2月22日

銅襖引手完成

茶室用の銅の引手をご注文頂きました。十三夜前後の月のかたちです。満月へと満ちていく、縁起の良い月の引手3種と2寸の丸引手を作りました。

 

昔ながらの方法で作る手作りの引手、ここではその制作工程をご紹介致します。

 

銅月引手制作行程1
まずは、寸法に合わせて細長く切り抜いた銅の板に火を当て、柔らかく焼き鈍し、輪にしてロウ付けをします。
ロウ付けしたロウのはみ出たところは、きれいにやすってロウ払いをしておきます。

銅月引手制作行程2

ロウ付けした輪を、当金と呼ばれる金床に当て、上から金槌で叩きながら、図面の月のかたちに合わせてカーブを作っていきます。鎚目を打ったところは地金が締まり、きらきらしています。
輪にすると、地金が引っ張られて両端が反ったようになるので、これも叩きながら修正していきます。

これが最終的な出来上がりのかたちを決めます。
叩きすぎると地金が延びて、大きくなってしまうので、注意が必要です。

慎重に、丁寧に合わせていきます。

銅月引手制作行程3

3種類、かたちを合わせたところです。

ここまでで結構な時間がかかっています。

ちなみに、今回は1つずつなので型は作っていませんが、同じかたちで数を作る場合は、手前のような木型や金型に嵌めて、かたちを整える事もあります。

かたちが決まったら、輪の幅を引手の深さにちょうどいいように調整します。
(最初太くしすぎて詰めるのが大変でした)

写真を撮り忘れてしまいましたが、

輪に底板を留めるための爪を出し・・・
爪を出すとかたちが崩れるので、再度修正をして、最終的にかたちが決まったら・・・

銅月引手制作行程4

縁に欲しい分の厚みの板をロウ付けします。ここでは2.5ミリ厚の板をロウ付けしました。これから切り抜くので、外形は適当です。

ここからようやく引手らしいかたちになってくるのですが、

長くなりそうなので続きは次回に。

 

カテゴリー:制作日誌 | コメント

南鐐六角銚子

2012年2月9日

カテゴリー:作品紹介 | コメント

南鐐慶應好ペンマーク茶器

2012年2月8日

カテゴリー:作品紹介 | コメント

南鐐鎚目薬鑵(銀瓶)

2012年2月3日

カテゴリー:作品紹介 | コメント