銀盃のこと

2012年6月5日

髑髏の銀盃

 

だいぶ長い事ブログの更新ができないでおりました。
たまにはこんなのもいいのではと思い、少し前に作ったものですが載せてみます。

約3寸の銀の盃です。厚めの板から金槌で丁寧に叩き、中心部はごく薄く、縁は1.5ミリくらいの厚みから縦に落として口当たりを良くしています。
写真では見えませんが、漆のものに比べると少し高めの高台が付いています。

手に取って使う器を作る際はすべてそうなのですが、酒盃としての存在感はあり、それでいて重すぎない手取りを目指しています。

鎚目の銀盃はそれだけでも綺麗ですが、写真のようにワンポイントを入れる事でグッと引き締まります。

 

今回の盃は、髑髏。

これ実は一休禅師の逸話からのモチーフなのです。

村田珠光の師との伝承もあり、その墨蹟は茶人の間で極めて珍重される一休宗純ですが、狂雲子と号したように変わった逸話が多く残されています。

そのひとつがお正月に杖の頭に頭蓋骨をしつらえて「ご用心ご用心」叫びながら練り歩いた、というもの。

また、一休禅師の書物の中には「骸骨」という法語があり、 「人間は生きながらにして骸骨である。一皮むけばどんなに偉い人も貧しい人も骸骨でこれほど無差別・平等な姿を表したものはない。人の世はすべて虚仮不実(こけふじつ=みんな偽りの現象)だ」との内容だそう。
(ウィキペディア、大阪日々新聞より)

今回はそんな一休禅師の逸話から、杖の頭に載せたであろう髑髏をイメージして毛彫りを施してみました。
デザイン化した髑髏はモダンな印象もありますね。

 

さて、銀盃はなんと言っても冷酒におすすめです。冷たいお酒を注ぐと、一瞬でふわっと汗をかき、白くきらきらと輝きます。
お酒の入った透明な部分との対比が美しいのです。

これからの季節、凛と冷えた器からいただく冷酒は本当に美味しく感じます。

銀盃は朱盃のように茶懐石でも使う事ができますし、少し深めにすれば普段使いにもできます。お正月のお屠蘇だけ、というのは勿体ないですね。
ちなみにここまで深くすれば、ワインなども美味しく頂けますよ。

 

雪輪銀盃

 

銀の盃、お酒好きの方にはぜひ1つお持ち頂きたいものです。

 

 

 

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