黄銅(真鍮)製の松唐草建水、着色後の完成写真です。
濃いめの煮込み着色仕上げで落ち着いた色合いになりました。
使い込むほどに良い色に変化していきます。
数種類の鏨(ノミのようなもの)を使い、上からおたふく鎚という金槌で打ちながら紋様を彫っていくのですが、
真鍮は金属の中でも硬い素材なので、全面に彫りを入れたら親指の先がしばらくしびれておりました。
硬い金属をひと線ごと手作業で彫り進むという行為は、想像以上に時間がかかります。
しかしながら、手彫りにはレーザーや機械彫りには出せない味があります。
金鎚で叩くという行為もそうなのですが、金属の抵抗感が、私はたまらなく好きです。
少しでも力んだり、素材に逆らう方向に鏨を動かすと、美しい線は刻めません。
柔らかい素材やワックスではなく、硬い地金を直接彫る事でしか得られない表情があります。
彫金はまだまだ始めたばかりですが、美しい線を彫れるように日々精進していきたいと思っています。