茶室用の銅の引手をご注文頂きました。十三夜前後の月のかたちです。満月へと満ちていく、縁起の良い月の引手3種と2寸の丸引手を作りました。
昔ながらの方法で作る手作りの引手、ここではその制作工程をご紹介致します。
まずは、寸法に合わせて細長く切り抜いた銅の板に火を当て、柔らかく焼き鈍し、輪にしてロウ付けをします。
ロウ付けしたロウのはみ出たところは、きれいにやすってロウ払いをしておきます。
ロウ付けした輪を、当金と呼ばれる金床に当て、上から金槌で叩きながら、図面の月のかたちに合わせてカーブを作っていきます。鎚目を打ったところは地金が締まり、きらきらしています。
輪にすると、地金が引っ張られて両端が反ったようになるので、これも叩きながら修正していきます。
これが最終的な出来上がりのかたちを決めます。
叩きすぎると地金が延びて、大きくなってしまうので、注意が必要です。
慎重に、丁寧に合わせていきます。
3種類、かたちを合わせたところです。
ここまでで結構な時間がかかっています。
ちなみに、今回は1つずつなので型は作っていませんが、同じかたちで数を作る場合は、手前のような木型や金型に嵌めて、かたちを整える事もあります。
かたちが決まったら、輪の幅を引手の深さにちょうどいいように調整します。
(最初太くしすぎて詰めるのが大変でした)
写真を撮り忘れてしまいましたが、
輪に底板を留めるための爪を出し・・・
爪を出すとかたちが崩れるので、再度修正をして、最終的にかたちが決まったら・・・
縁に欲しい分の厚みの板をロウ付けします。ここでは2.5ミリ厚の板をロウ付けしました。これから切り抜くので、外形は適当です。
ここからようやく引手らしいかたちになってくるのですが、
長くなりそうなので続きは次回に。